1.このツールとは

「AI関連株 25カテゴリー・ザッパー(日本版)」は、日本の株式市場に上場しているAI関連企業を、AI産業の役割に応じて25のカテゴリーに分類し、カテゴリーごとの株価動向を比較できる分析ツールです。

https://ai-trust.info/lab/tools/ai_trend_jp_202607/

各カテゴリーには代表的な日本企業が3社ずつ登録されており、同じ分野に属する企業の株価推移を一つのチャート上で確認できます。

単に「AI関連株」という大きなくくりで見るのではなく、

  • 半導体
  • 半導体製造装置
  • データセンター
  • 電力設備
  • 冷却・空調
  • 光通信
  • 電線・ケーブル
  • ロボット
  • 自動化
  • AIソフトウェア
  • サイバーセキュリティ

など、AI産業を支える企業を役割ごとに確認できることが特徴です。

日本上場企業を25カテゴリーに分け、各カテゴリーの代表3社について、表示期間の開始時点を0%にそろえた騰落率を比較します。最大5年間の表示に対応し、カテゴリーや銘柄を切り替えながら、出遅れている企業や分野を探せます。株価データにはJ-Quantsが使用されています。


2.このツールで分かること

このツールでは、主に次の4点を確認できます。

① AI関連株の中で、どの分野が上昇しているか

AI相場では、すべての企業が同時に上昇するわけではありません。

最初に半導体株が上昇し、その後に電線、データセンター設備、冷却、電力、ロボットなどへ資金が移ることがあります。

カテゴリーを順番に切り替えることで、現在のAI相場で資金が集まっている分野を確認できます。

② 同じカテゴリー内で強い企業と弱い企業

同じAI関連分野に属していても、株価の動きには大きな差が生じます。

3社の騰落率を重ねて表示することで、

  • すでに大きく上昇している企業
  • 安定して上昇している企業
  • 同業他社より出遅れている企業
  • 上昇後に調整している企業

を比較できます。

③ 出遅れカテゴリー

半導体株が大きく上昇している一方で、電力設備、空調、電子部品、工場自動化などがまだ十分に評価されていない場合があります。

複数カテゴリーを横断して確認することで、AI投資の恩恵が今後広がる可能性のある分野を探せます。

④ AI相場の資金循環

表示期間を変更することで、短期と中長期の動きの違いを確認できます。

短期では急上昇していても、長期ではまだ出遅れている銘柄があります。反対に、長期では大きく上昇していても、直近では勢いを失っている銘柄もあります。


3.基本的な使い方

手順1 カテゴリーを選ぶ

画面に表示されている25カテゴリーから、調べたい分野を選択します。

カテゴリーを選ぶと、その分野を代表する日本上場企業3社の株価推移がチャートに表示されます。

最初から特定の企業だけを見るのではなく、複数のカテゴリーを順番に切り替えて、AI関連市場全体の動きを確認するのがおすすめです。


手順2 3社の株価推移を比較する

チャートには、選択したカテゴリーに属する3社の騰落率が表示されます。

各銘柄の株価そのものではなく、表示開始時点を0%として、その後に何%上昇または下落したかが示されます。

例えば、

  • A社:+40%
  • B社:+15%
  • C社:-5%

と表示されている場合、表示期間中ではA社が最も強く、C社が最も出遅れていることになります。

ただし、出遅れているから必ず上昇するわけではありません。業績悪化や競争力低下など、株価が上がらない理由がある可能性も確認する必要があります。


手順3 表示期間を変更する

期間選択機能を使い、短期から最大5年間まで株価の動きを確認します。

期間を変えると、銘柄の評価が大きく変わる場合があります。

短期表示で見るポイント

  • 最近、急に上昇し始めた銘柄
  • 決算発表後に買われた銘柄
  • 同業他社から資金が移ってきた銘柄
  • 上昇トレンドが崩れ始めた銘柄

中期表示で見るポイント

  • 数カ月単位で上昇が続いているか
  • 一時的な材料だけで上昇していないか
  • 同カテゴリー内の順位が変化しているか
  • 出遅れ銘柄が追いつき始めているか

長期表示で見るポイント

  • AI投資拡大の恩恵を継続的に受けているか
  • 長期的な成長トレンドが維持されているか
  • すでに株価が大幅上昇していないか
  • 長期では強いが、直近は調整局面に入っていないか

手順4 カテゴリーを次々に切り替える

このツールの「ザッパー」とは、テレビのチャンネルを切り替えるように、カテゴリーを次々と切り替えて比較する使い方を意味します。

一つのカテゴリーだけで判断せず、

  1. 半導体
  2. 半導体製造装置
  3. 電子材料
  4. 光通信
  5. 電線・ケーブル
  6. データセンター
  7. 電力設備
  8. 冷却・空調
  9. ロボット・自動化
  10. AIソフトウェア

というように、AIバリューチェーンの上流から下流まで順番に確認します。

これにより、現在どこまで株価上昇が広がっているのかを把握できます。


4.チャートの見方

0%とは何か

チャート上の0%は、各銘柄の表示期間開始時点です。

3社の株価水準は異なるため、株価そのものを並べると正確な比較が難しくなります。本ツールでは、すべての銘柄を0%からスタートさせることで、値段の異なる企業同士でも上昇率と下落率を比較できるようにしています。

線が右肩上がりの場合

表示期間中に株価が上昇しています。

特に、同カテゴリーの他社よりも継続的に上側で推移している場合、市場から高く評価されている可能性があります。

線が横ばいの場合

株価が一定の範囲で推移しています。

業績拡大がまだ株価に反映されていない可能性がある一方、成長期待が弱い可能性もあります。

線が右肩下がりの場合

表示期間中に株価が下落しています。

単なる市場全体の調整なのか、業績や競争力に問題があるのかを区別する必要があります。

3社が同時に上昇している場合

個別企業だけでなく、カテゴリー全体に資金が流入している可能性があります。

AI設備投資、政策支援、需要拡大、製品価格上昇など、分野全体に共通する材料が出ていないか確認します。

1社だけが大きく上昇している場合

カテゴリー全体ではなく、その企業固有の材料で上昇している可能性があります。

決算、新規受注、増産、提携、上方修正、株主還元などのニュースを確認します。


5.出遅れ銘柄の探し方

ステップ1 カテゴリー全体が上昇しているか確認

まず、3社のうち2社以上が上昇しているカテゴリーを探します。

カテゴリー全体に追い風があるにもかかわらず、1社だけ上昇率が低い場合、出遅れ候補になります。

ステップ2 短期と長期を比較

短期では出遅れていても、長期ではすでに大きく上昇していることがあります。

反対に、長期では出遅れていても、短期チャートで上向きに変わり始めている場合は、資金流入の初期段階である可能性があります。

ステップ3 出遅れている理由を確認

株価の出遅れには、大きく分けて2種類あります。

評価が追いついていない出遅れ

  • 業績は拡大している
  • AI関連の受注が増えている
  • 設備投資を進めている
  • 利益予想が上方修正されている
  • 同業他社より割高感が小さい

理由のある出遅れ

  • 業績が悪化している
  • 利益率が低下している
  • AI関連事業の売上比率が小さい
  • 株式の希薄化が懸念される
  • 競合企業にシェアを奪われている
  • すでに将来の成長を株価が織り込んでいる

「株価が上がっていない」という事実だけで買い候補にせず、決算や企業情報と組み合わせて判断してください。


6.出遅れカテゴリーの探し方

カテゴリー間の比較では、次のような順序で確認します。

① 先行カテゴリーを確認する

まず、すでに大きく上昇しているカテゴリーを探します。

例えば、AI半導体や光通信関連が先行している場合、AI設備投資そのものへの期待が強いと考えられます。

② 次に恩恵を受ける分野を考える

半導体やサーバーが増えると、次のような設備も必要になります。

  • 電力供給
  • 変圧器・配電設備
  • 電線・光ファイバー
  • 冷却・空調
  • 建設・設備工事
  • 電子部品
  • 検査装置
  • 工場自動化

先行分野の需要拡大が、どのカテゴリーへ波及するかを考えます。

③ 株価が動き始めているかを見る

長期間横ばいだったカテゴリーが上向きに変化し、3社のうち複数社が同時に上昇し始めた場合、資金循環が始まっている可能性があります。


7.おすすめの分析手順

実際の投資調査では、次の順番で使用すると効率的です。

第1段階 全カテゴリーを確認

25カテゴリーを一通り切り替え、強い分野と弱い分野を把握します。

第2段階 上昇率の高いカテゴリーを抽出

3社がそろって上昇しているカテゴリーを確認します。

第3段階 出遅れ銘柄を抽出

強いカテゴリーの中で、他の2社より上昇率が低い企業を探します。

第4段階 期間を変更

短期、中期、長期の順に確認し、一時的な出遅れなのか、長期的な低迷なのかを判断します。

第5段階 企業の業績を調査

候補企業について、次の項目を確認します。

  • 売上高と営業利益の伸び
  • AI関連事業の売上比率
  • 受注高と受注残高
  • 設備投資計画
  • 今期と来期の業績予想
  • 営業利益率
  • PER・PBRなどの株価指標
  • 直近の決算発表
  • 大株主や需給の変化

第6段階 株価位置を確認

日足・週足チャートを使い、移動平均線、直近高値、出来高、窓開け、支持線などを確認します。


8.具体的な活用例

活用例1 AI相場の主役を探す

複数カテゴリーを確認し、3社がそろって上昇している分野を抽出します。

カテゴリー全体が上昇していれば、個別企業だけではなく、産業テーマそのものが市場から評価されている可能性があります。

活用例2 次の上昇候補を探す

大きく上昇したカテゴリーに関連しながら、まだ株価上昇が小さい隣接カテゴリーを探します。

例えば、AI半導体が上昇した後に、電力、冷却、光通信、データセンター建設へ資金が広がる可能性を調べます。

活用例3 保有株の強さを確認する

保有企業と同じカテゴリーの2社を比較します。

保有株だけが下落している場合は、企業固有の問題がないか確認します。3社すべてが下落している場合は、カテゴリー全体の調整や市場環境の変化が考えられます。

活用例4 過熱した銘柄を見つける

短期間で他の2社を大きく引き離して上昇している銘柄は、評価が急速に高まり、過熱している可能性があります。

上昇率が高いことだけを理由に追いかけず、業績成長とのバランスを確認します。


9.見るべき重要なパターン

パターンA 3社がそろって上昇

カテゴリー全体への資金流入が考えられます。

パターンB 2社上昇、1社横ばい

横ばいの企業が出遅れ候補になる可能性があります。ただし、業績確認が必要です。

パターンC 1社だけ急上昇

個別材料による上昇の可能性が高く、カテゴリー全体の強さとは限りません。

パターンD 短期は下落、長期は上昇

長期上昇トレンドの中の調整である可能性があります。

パターンE 短期は上昇、長期は下落

一時的な反発である可能性があります。長期トレンドが転換したかを慎重に確認します。

パターンF 3社の順位が入れ替わる

カテゴリー内で市場評価が変化している可能性があります。決算や受注、技術競争力の変化を確認します。


10.利用上の注意点

株価だけでは投資判断をしない

このツールは、調査候補を効率的に見つけるためのものです。売買を自動的に判断するものではありません。

出遅れは割安と同じではない

株価が上昇していない企業には、業績、財務、競争力などの問題がある場合があります。

過去の上昇率は将来を保証しない

過去に大きく上昇した企業が、今後も同じように上昇するとは限りません。

騰落率と企業規模は別の情報

同じ上昇率でも、時価総額、売買高、事業規模、値動きの大きさは企業によって異なります。

データの反映時刻に注意する

市場取引中やデータ更新直後は、最新株価がまだ反映されていない場合があります。

投資判断は複数の情報で行う

最終判断では、決算資料、適時開示、企業の事業内容、株価指標、チャート、市場環境を併せて確認してください。

https://ai-trust.info/lab/tools/ai_trend_jp_202607/


11.このツールが向いている方

  • 日本のAI関連株を幅広く知りたい方
  • 半導体以外のAI関連企業を探したい方
  • AI産業の資金循環を確認したい方
  • 出遅れ銘柄や出遅れカテゴリーを探したい方
  • 保有株を同業他社と比較したい方
  • AI関連株への投資が一部銘柄に偏っている方
  • 決算分析を始める前に候補企業を絞りたい方

12.まとめ

「AI関連株 25カテゴリー・ザッパー(日本版)」は、日本のAI関連企業を25の産業カテゴリーに分け、代表企業の株価推移を同じ基準で比較するツールです。

重要なのは、上昇率の高い銘柄をそのまま追いかけることではありません。

  • どのカテゴリーに資金が入っているか
  • 同じ分野でどの企業が強いか
  • 出遅れている企業に成長余地があるか
  • AI投資の恩恵が次にどの分野へ波及するか
  • 短期と長期で株価の評価がどう変わるか

という視点で利用することで、日本のAIバリューチェーン全体を見渡しながら、次の投資調査候補を効率的に発見できます。

本ツールで候補を見つけた後は、決算、受注、業績予想、株価指標、ニュース、チャートを確認し、総合的な投資判断につなげてください。

※本ツールは情報提供および投資調査を支援することを目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は利用者ご自身の責任で行ってください。